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9031.comのフリーフォント「Major Kong」がau by KDDIの携帯電話「PENCK」で使われている件について

その後

2005年3月28日午後、サイトウマコト氏と、KDDIプロダクト統括部 プロダクトマネジメントグループ プロダクトマネージャー 近藤隆行氏から、本件に関してそれぞれ直接電話で謝罪をいただきました。

そして両者から、PENCKのテンキーの数字フォントはサイトウマコト氏がデザインしたものではなく、9031.comのフリーフォント「Major Kong」が使われている、ということが確認されました。

また、そのフォントをサイトウマコト氏がデザインしたと報道されている件についての説明をいただきました。テンキーのフォントはサイトウマコト氏自身が、PENCKのために最もふさわしいフォントとして選択・採用したものであったが、サイトウマコト氏とKDDIの間に、そのフォントに関して認識の相違があったため、KDDI側はテンキーのフォントもサイトウマコト氏がデザインしたものであると誤解し、そのように報道機関への説明が行われた、とのことです。

そして、改めてPENCKに関わる全ての記事をチェックし直すとともに、そのように誤った報道が行われた記事に対して、内容の訂正とともに、サイトウマコト氏がデザインしたフォントではないことをお詫び・訂正文として追加していただける形となり合意に至りました。

※2005年3月28日12:00頃から2005年3月30日1:00頃にかけて、9031.comサーバーへのアクセス過多による一時停止と、それに伴うサーバー移転対策等により、本ページおよび9031.comに繋がらない状況が発生しました。

2005年3月30日
足立裕司 Yuji Adachi
info@9031.com
http://www.9031.com/

9031.comのフリーフォント「Major Kong」がau by KDDIの携帯電話「PENCK」で使われている件について

知らないうちに僕が作ったフォントがサイトウマコトデザインの一部になっている…!?

当サイト9031.comが1999年からフリーで配布しているフォント「Major Kong」が、au by KDDIのau design projectの携帯電話のひとつであるPENCKのテンキーの数字フォントとして使われているようです。そういった華のあるプロダクトで当サイトのフォントが部分的にでも使用されるのはとても光栄ですし、全然かまわないのですが、PENCKに関する記事などを読んでいて気になった問題がひとつ。それは、PENCKのデザイナー、デザイン・ディレクターであり、世界的にも著名なクリエイター、グラフィックデザイナーであるサイトウマコト氏が、PENCKの筐体のデザインのうち、この数字フォントについても自分がデザインしたように発言しているらしいことなのですねー。そういった言動さえ目にしなければ、僕はフォントの使用についていちいち突っ込んで関知していませんし、こんなページもわざわざ作りません。

ちなみにフォントの使用に際して僕の方への連絡は事前も事後も一切何もありません。基本的にフリーフォントで、商用利用も許諾の必要はなく、使用料も無料でかまわないのですが、著作権を放棄しているつもりはないです。たかがフリーフォントで、使われているのはそのうち数字+記号でたった12文字。しかしながら僕なりのこだわりを持ってデザインしたフォントです。

Web上で見かけた記事からとりあえず2つ。引用です。

だそうです。

僕の希望としては、「テンキーの数字のフォントはサイトウマコト デザイン室のアシスタントがどっかのサイトで適当に拾ってきたフリーフォントを使っています。えーとメジャーなんとかっていう…、URLは90なんとか…忘れました。」とかで全然かまわないので、ぜひ訂正していただきたいところです。

本当に同じフォントなのか?

たまたま偶然似てるだけじゃないのか?という疑問もあったので、以下、僕がデザインしたフォントMajor Kongと、PENCKのテンキーの部分を実際に比較してみました。


まず、これが僕の1999年作Major Kongです。現在も当サイト9031.comのP-Font Dispenserから、Mac版(PostScript Type1形式)とWindows版(TrueType形式)が無料でダウンロードできます。


そして、Major Kong(左)のうち数字の0〜9、記号「*」「#」と、PENCKの製品写真からテンキーの部分(右)をスケール・位置関係・色味のみを合わせて左右に並べた図です。「*」のみ、時計回りに90度回転してあります。


さらに、そのMajor Kong(左)をPENCKの写真(右)の上に重ねてみた図です。フォントの輪郭がぴったり重なって一致しちゃいます。90度回転した「*」の輪郭までが一致してしまうという...(笑)。


auのサイトを見てみると取扱説明書(PDF)のダウンロードができるページがあったので、PENCKの取扱説明書をダウンロードしてみました。これでより詳細なアウトラインでの確認ができそうです。取扱説明書のP.24 / 312「各部の名称と機能」のページ、ここにPENCKの正面ビューとともにテンキーの部分のフォントのアウトラインパスデータがばっちり含まれています。


PDFデータはプロテクトがかかっているので、PDFのビューアーで思いっきりテンキーの部分を拡大表示して画面キャプチャーを撮り、イラストレーター上でMajor Kongを重ねてみます。緑色の部分がMajor Kongです(画像をクリックすると拡大表示します)。見事に完全一致です。 PENCK側のフォントは、Major Kongのフォントウエイトを微妙に太らせて使っているようです。あとは「*」の時計回り90度ジャストの回転、 それ以上の加工は特にしていないように見えます。

店頭でPENCKの実物を見てもやはりフォントの部分は変更なく発売されていました。

Major Kongについて


これは僕の手元に残っている、Major Kongをフォントデータ化する前のイラストレーターの作業データや制作当時のスケッチのキャプチャーです。フリーフォントといえども僕なりに一生懸命作ってます(泣)。

Webサイトで公開した1999年から現在までの間に出版されている、さまざまなパソコン系雑誌やフォント関連書籍に掲載されたり、それらの付録のCD-ROMにフォントデータが収録されたり、といった物証もかなり沢山あります。例えば近年では「DTPフォントハンドブック」(工学社・2002年刊)とか、「デザイナーズ・フォントカタログ 692」(MdN・2004年刊)などにMajor Kongが掲載・収録されています。

ちなみにこのフォントは、僕の好きな映画「博士の異常な愛情」や「ストップ・メイキング・センス」で使われている、Pablo Ferro氏によるタイトルロールの手書き文字にもともとインスパイアされて作りました。トレースしているわけではなく、基本的には全て僕がゼロから書き起こした文字です。フォント名の「Major Kong」とは「博士の異常な愛情」の登場人物であるコング少佐から取っています。

というわけで

実際僕はこのフォントのことはここ数年すっかり忘れていたのですが、PENCK発表の際に記事と写真をはじめて見たときには、さすがに我が子のようなもので一瞬で分かりました。PENCKは、コンパクトっぽい形状やメッキっぽい表面仕上げなどの方がメインの特徴・コンセプトだと思いますが、このフォントが少なくともPENCKの開いた状態のデザインの中で占めている割合は決して小さくないですし、僕個人としては、このフォントの完成度に特に満足しているわけでもなく、ましてやこれがテンキーに合うフォントだとも正直言ってあまり思えないです。それがこんなにも堂々と自信たっぷりげにサイトウマコトデザインの一部として使われ、そしてそれを彼がデザインしたことになっていることに驚きました。

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2005年3月27日
足立裕司 Yuji Adachi
info@9031.com
http://www.9031.com/
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